高血圧とは

高血圧のイメージ写真

高血圧は日本人には大変多い疾患で、約4300万人が罹患していると推定されています(2014高血圧治療ガイドライン)。至適血圧を超えて血圧が高くなるほど、狭心症・心筋梗塞などの心疾患、脳卒中、慢性腎臓病などによる死亡が増加すると言われており、高血圧に起因する死亡者数は年間10万人と喫煙に次いで多くなっています。また脳卒中による後遺症で寝たきりになり、死亡に至らなくても生活の質が著しく低下することも大きな問題です。
適正な体重を維持し、適度な運動を心がけ、減塩に努めるなどの生活習慣の改善が重要です。

投薬治療が必要かどうかは、慎重に判断しています。単に血圧の数値で機械的に決められるものではありません。
患者さん一人ひとりの考え方も投薬するかどうかの重要な判断材料になります。
医師に指示されてではなく、ご自分の意志で治療を受けることを重視しています。
「一度薬を飲み始めたら、一生やめられない」と思っている方が少なくないですが、そうではありません。生活習慣の改善を行うことで、薬を減らしたりやめたりすることも可能になります。

無症状のことが多い高血圧

高血圧の90-95%は「本態性高血圧」です。遺伝的要因と食生活、嗜好品(たばこ・お酒等)の摂取過多、運動不足や精神的ストレスなどの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。
残りの5-10%は、ホルモン異常や薬物の副作用など、原因がはっきりしている高血圧です(二次性高血圧)。
血圧の高い状態が続くと、血管の壁が圧力で傷み、血管の壁が厚くなったり、硬くなったりする動脈硬化の原因となります。そして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病なども引き起こしやすくなります。
ただ、高血圧そのものは無症状のことが多いので、健康診断などを通じて早期に発見し、適切な対策を講じることが大切です。家庭用血圧計(上腕用が好ましい)を購入し、自宅で毎日測る習慣をつけることをお勧めします。

高血圧の治療

まず治療が必要かどうかを判断するために、2週間以上の血圧を記録してみてください。
血圧測定は朝と夜、1日2回行います。飲酒後や入浴後は避けるようにしてください。
記録した用紙を持参して受診していただければ、そもそも治療が必要かどうか、生活習慣の改善を行うことで対処が可能か、内服治療が必要かどうかを判断いたします。

生活習慣の改善は、適正な体重を維持し、適度な運動(毎日30分以上の有酸素運動)を継続的に行い、減塩に努める等になりますが、改善の余地も個人差があります。
一旦医師から降圧薬を処方されたら、指示通りにしっかりと服用することが大切です。
内服治療と生活習慣によって適正な血圧を維持することが治療目標になります。